さあ、今年も残すところあと1日となりました。皆様にとってはどんな1年でしたか?
私は今年も様々な方に支えられ、音楽活動を全うすることができました。感謝のみであります。また「フリーランスとしての自分」への自問自答の答えがはっきりした年でもありました。答えを先に言ってしまうと、それは「何者でもない自分」を日常でも舞台でも体感する瞬間が多々あり、それにすごくピンと来たのです。
ここに至る経緯をお話いたしましょう。今日は長くなりそう (笑)
ベルギーの王立音楽院を卒業しようとしている頃、はてさて、これからどうしようかな、と。学生の頃から少しずつ古楽オーケストラで仕事をさせていただいて、もう少し可能性を覗いてみたい気持ちもあり。「プロフェッショナルカード」という、外国人に与えられる労働許可書+滞在許可書に代わるものにイチかバチかで申請し、この審査で落ちたら日本に帰国しろという神様の思し召しなのだろうなと思って申請したら、これを受け入れてもらえたのです。もうすでに15年前の話で今では申請方法もだいぶ変わりましたが、その頃は本当にたくさんの書類を準備しなければいけなくて、これで受け入れられなくてもやることはやったなあ、全く未練はない!と思ったのを今でも思い出します。
コロナの後、色々な人たちがフリーランスとしての生き方にシフトする傾向が世界中に見られ「フリーランスハウツー」みたいな動画や本がとても多くなりました。ものすごいスーパースターの方々を除けば、だいたいのフリーランス音楽家なら、割と経済的にカツカツぱっちーんの生活を送っているはずでしょう(笑) ありがたいことに私は衣食住に困ることはなく、感謝するのみです。でも「もーうちょいお金があったら、こんなプロジェクトとかできるのになー」と思うのはきっとわたしだけではないはず(と思いたい)(笑)
それで興味本位で、フリーランスで頑張っている方々から学ばせていただこう!と思い動画を見たり、本を読んだりしてみたり、自己啓発?してみたのですよ!
「セルフブランディング」「フリーランス成功術」…。
読めば読むほど、こんがらがっていき、本も最後まで読めません。
どの本にも「自分は何者なのか」ということを突き詰めるべき、と書いてあります。
それと逆行するように最近の私は日常でも舞台の上でもふっと気づくと「何者でもない自分」という状態であり、それがすごくいいのです。何でもない自分のなかに感情が流れていき、音楽が流れていく。で、相手もまた浮遊しているエネルギーみたいに感じるというか。で、その知識と自分の感覚の間で混乱する自分がいました。
ベルギーに住まわれているフリーランスの先輩に「なんか、見えそうだけどちょっと今よくわからなくなってるんですけど」とお話したら「フリーランスの道は一生模索だよ。悩んでるっていうことは素晴らしい」と言っていただき、すごくその言葉に感じ入るものがあり、そうか、なんかじゃあ、もう少し悩んでみようかなと思ったのです。
しばらく内観しているうちに、今まで、最高に音楽家として自分らしい(何でもない自分と言っているのに矛盾してるかな)時期っていつだっただろう、と思ったら、コロナの時期だったのです。お仕事も全てなくなり、しーん、としている中で、自分の中から音楽が湧き上がってくる。湧き上がってくるという言葉が本当に正しい。その瞬間、それを求めている人がいたら音楽がその人の居場所になってほしい。ほんとにそれだけです。その感覚を思い出したときに、そうかー!これか。と思いました。それは、多分自分の音楽家としての原点です。小さいときに音楽を楽しんでいた、そのころまでさかのぼります。そこには、自分は何者か、という定義は自分にとってはむしろ邪魔になり、ただただ、自分という媒体に音楽を通過させていく、ということになります。その瞬間私は強烈に自分自身であり、また同時に何物でもないのです。
2025年のチャレンジは忙しさや情報に振り回されることなく、この原点が導く道を歩いていくということです。
だいぶ長くなりました。最後までお付き合いくださった方はいらっしゃるのだろうか (笑)
みなさま、良い年末をお迎えください。そして、みなさまの2025年が愛に満たされたものでありますように。今年もどうもありがとうございました。
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