今年も私の生徒さん達の発表会が近づいてきました。発表会の前は生徒さんの様子が少し違います。それは、みんなそれぞれ舞台で演奏する事に対して「緊張」を感じるから。年齢や性格によってもそれぞれの反応の仕方は違いますが、私はそれに対してオープンに語るようにしています。
「なぜ緊張を感じるか知ってる?それはね、あなたが自分のベストを尽くしたいと思っているから。だから決して悪いことではないよ」というところから始めると、それでホッとする生徒さんも多いです。緊張を感じる自分はダメだ」と緊張をタブー視する社会が問題であり、あなたはダメじゃない。そこでふーっと一息ついて、さて、ここから「緊張」に囚われないで、あなたが自分らしく舞台でパフォーマンスが出来るためにはどうしたらいいだろう?とガイドしていくのです。
そもそも、音楽家は舞台に立つ職業なのに、「緊張」に対してのガイドは全く与えられません。「本番にそなえて練習を百倍しろ」「場数を踏むべし」「観客はかぼちゃと思え」(改めて書くとなかなかひどい)。それくらい。
それらの言葉は、もう少し親切に解説すると「本番では普段よりもプレッシャーがかかるので、それに対処する用意はきちんとすべし」「緊張に対処する回数があればあるほど、慣れていく」「観客を気にしすぎず、音楽に集中すべし」ということなのです。それで問題が解消すれば万々歳ですが、大体の生徒さんにとってはそれは抽象的すぎるアドバイスだと思っています。
生徒さんのタイプに合わせて、それぞれを舞台まで導いていく。少しでも生徒さんの成功体験に協力することができれば、と思って今日もがんばっています。
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