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  • 執筆者の写真Madoka Nakamaru

心を引っかかれるような優しさ

更新日:2020年10月22日

大変ご無沙汰しておりました。まるっとまどかです。みなさまお元気にお過ごしでしょうか。音楽家の生活というのは表舞台の裏では意外にじみ〜に様々な「準備」や事務作業に追われているものです。今日は少し気分を変えてカフェで作業。

このストローは紙で出来ていてプラスチックよりは湿気に負けて多少へこたれますが、使うには問題ないレベル。環境問題が叫ばれている今、こういったアクションが至るところに見られます。

さて、今月はルネ・ヤコブスの指揮でシューベルトのシンフォニーを弾いています。単純なメロディの中に心を引っかかれるような優しさが見えて、またモティーフが繰り返す転調は不安に揺れては闇に転げ落ちそうになる心を表すようです、その繊細さにはドキッとさせられます。

まるっとまどかはバロック音楽しか演奏しなかった時期が割と長い間ありました。その時期の私にとってはバロック音楽の構成の美しさ、また感情をスタイルという枠の中で表現する芸術、人間の感情というよりはそれを超えたエネルギー体の動き、そういうものに夢中になり、それが自分にとって心地よかったのです。その時期は本好きの私が「小説」というジャンルを読まなかった、というかどうしても読めなかった時期とちょうど重なっています。

今だからわかるのですが、小説で表現される人間の感情が、またロマン派で表現される人間の生々しい感情が自分にとって刺激が強すぎたのです。それらすべてを体験するともう自分がどうにかなってしまいそうで距離を置いていました。もう人間じゃなくて吾輩は猫である。それでいい。そんな感じでした。(誰かこの気持ちわかる?)

そしてしばらくたった今、またロマン派の音楽を手にとっている自分がいます。それは人間のあらゆる感情、ポジティブとカテゴライズされる感情もネガティブとカテゴライズされる感情もすべて平等で、ポジティブはネガティブとなり、ネガティブはポジティブとなり、表は裏となり、裏は表となり、その揺らぎも美しく、それらの感情が網のように何かを形作り、複雑に折り重なったそれを俯瞰してみればそれはさぞかしシンプルな耀く球体なのであろうというふうに感じている今だからこそ、またロマン派というジャンルの前に立っている自分がいるのでしょう。たぶん。

日常を過ごす上では嫌な気分より、良い気分のが良いですけどね。そりゃもちろんね(笑)

みなさま、どうぞご自愛くださいね。

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